中立離婚アドバイザー山根です。
行政書士だけが知っている「となりの離婚白書」へ、ようこそ。
今回の事件簿は・・・
【養育費を払わないと頑なな夫】
夫48歳(会社員)、妻48歳(会社員)。
婚姻20年目。同居中
こども一人、18歳(高校3年生)。
早速、紐解いてみましょう・・・
御相談は、高校三年生になる長女さんと母親が来所。既に進学先も決定しており、具体的な必要経費等についても明らかになっている状態。
こどもの進学を機に、長年に亘って揉めていた離婚について決着することは合意済みというものでした。
いざ具体的に離婚の話が進み出すと、夫が「自分は親権者ではないので養育費を払う義務がない」などと主張し始め、「高校まで出してあげたのだから、大学は自分で行きなさい」と手のひらを返したような態度になってしまったとのこと。
先ずは、夫の言い分も聞いてみましょうということで、後日、ご主人に来所いただきました。結論から切り込んでも本音は聞き出せませんので、結婚してからのこと、いつ頃から離婚の話が出たり消えたりして生きたのか、そのときはどのように回避してきたのかなど、20年間分について、詳しくヒアリングさせて頂きました。
浮かび上がってきたのは、妻の浪費に対する不満でした。浪費といっても、生活を圧迫するような「無駄遣い」が過ぎるという程ではなく、夫に断りもなしに自分で欲しいものは購入してしまうという行動を非難するものでした。夫は、何を購入するにしても一言、事前に相談して欲しかったというのが本音でした。
その点話合ったことはあるかと尋ねると、何度も繰り返してきたようです。「また無断で買ったのか!」と怒ったり、妻が反省したり謝ったり、でもまた同じ事の繰り返しを続けてきたということです。
その辺り、夫婦間のことですから、歩み寄れないのであれば仕方が無いのですが、養育費の不払いとどう繋がるのか、なかなか夫も本心を口にしようとしません。
切り口をかえて、妻に、こどもの教育についてヒアリングを進めることにしました。小学生の頃からの習い事や中学生時代のこと、高校進学時の選定過程や、大学を目指していること、将来の夢や方向性など多岐に亘ってお聞きしました。
母親は、まるで自分のことのように流暢に話して頂けます。こどもの教育には熱心なようで、数回に亘ってお話しを伺いました。
ヒアリングシートも数ページに亘ってきたころ、「ところでご主人の関与って全然登場しませんけど・・」と切り込みました。すると、夫の無関心、夫への不満、自分が二人分頑張らねばと言う重責を感じ続けて来たことなど、涙を流しながら吐露しはじめました。
夫に対しては、どうして欲しかったのか、何故そのような方向に軌道修正できなかったのか、深掘りしていくと、「話をしても仕方ない」「自分が頑張らないと」「夫の意見は参考にならない」と溝の深さばかりが目についてしまいました。
どちらかというと妻主導で教育についても方向性を決めてこられたようで、夫には事後承諾中心という構図が浮かび上がってきました。妻が感じてきた心情を、少々長文ながら書面に纏め、夫に渡すことになりました。
なかなか本心を口にしない夫でしたが、暫くして、妻の浪費も娘の進学も「同じこと」ですよと話し始めました。高校に入るときも、入ったあとも、大学はどうするのかとか、幾らかかるのかとか、そういった相談はいつも後回し(事後連絡)であり、きちんとした相談がなかったことが不満だったようです。積極的に聞き出そうとしても喧嘩になってしまうので、聞きたくても聞けなかったとのこと。
養育費については、「離婚後に妻にお金を渡すことが嫌だ」という心情が根底にあることが見えてきました。
また、18歳で親権が消えること、18歳成人と未成熟の終期は連動しないことなど、法律上の説明を少し加え、お互いに冷静になったところで、和解案の詰めに入りました。
最終的に、娘さんの学費は夫の口座から引落し、生活費の一部は娘さんの口座に夫が振り込むという形で決着がつきました。
【中立離婚アドバイザーの回想録】
寡黙な父でしたので、「養育費を払わない」という言葉のウラに隠された本意が何なのか、特定するまでにとても難航しました。
夫は本心を語ることが難しい人でしたが、徐々に「妻の浪費も娘の進学も同じこと」と語り始めました。彼の中には、「事後承諾ばかりで、ちゃんとした相談がなかった」という不満があったには違いありません。話し合いがもたらす対立を恐れながらも、夫は夫なりに葛藤していたのです。
心の解決ができたことで将来への怨恨がなくなり、それぞれにとって有益な結論に至ることができた事件でした。
気持ちを言語化できたあとは、娘さんも含め、冷静な話しあいを進行することができました。
皆さんも気持ちの言語化に悩んだときは、専門家を積極的に活用ください。
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最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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