中立離婚アドバイザー山根です。
行政書士だけが知っている「となりの離婚白書」へ、ようこそ。
今回の事件簿は・・・
【私はATMじゃない】
夫52歳(自営業)、妻49歳(無職)。
婚姻24年目。同居中。
こども3人(22歳、20歳、19歳)共に社会人。
早速、紐解いてみましょう・・・
御相談にお見えになったのは、夫。
曰く、
結婚当初は、夫の自営業を手伝っていたが、こどもが大きくなるにつれ、妻の体調不良(腰痛、偏頭痛)が目立ってきた。初めのうちは大事をとって休むことも黙認していたが、3年5年と長引いてくると、許容しがたくなってきた。
しかも、仕事は忙しく、パート社員を雇わなければならない状態。それでも妻は体調不良を理由に、働こうとしない。ここ数年は、事務所にさえ顔を出さなくなっている。
私が稼ぐのは「あたりまえ」と、感謝の微塵も見られない。こども達が一人前になった今、夫婦でいる意味が見いだせない。
先日、「あんたは私のATM」と罵られたことがきっかけとなり、離婚を考え始めた。
という内容です。
奥様は、当然ながら離婚に反対。
どうしても別れるなら、慰謝料1億円を要求すると、怒り心頭な状況。大声を出したり泣いたり、僅か40分のヒアリング中にも感情の起伏の激しさが見うけられました。
その後、夫が8回、妻が17回もの相談を経て、離婚には合意できたものの、妻が慰謝料にこだわり話合いが難航しました。
額面で妻が200万円まで折れたのですが、夫にはその現金が用意できませんでした。
そこで現金を給付する代わりに、夫が妻の転居先を契約し、約3年間の家賃(200万円)を負担することでなんとか合意にたどり着きました。
転居先の仲介は、弊事務所系列の不動産会社と連携して、取り組まさせて頂きました。
妻は当初から、離婚したら生活が苦しくなると述べ、愛情なんてとっくにありませんと発言しておきながら、夫がATM状態という生活に満足されていたのでしょう。
そんな心中を察していたのか、見て見ぬ振りをしてきたのか、夫も50歳を過ぎ、子ども達が巣立った段階で、残りの人生を見つめ直されたということです。
【中立離婚アドバイザーの回想録】
話しあい解決の場ですから、ご夫婦それぞれに「ああしたい、こうしたい」「ああしてほしい、こうしてほしい」という気持ちの表明が不可欠です。
気持ちを開示しない自由は当然にありますので、それを望まない方に対しては何もお手伝いできません。
終わってしまえば、あっけない落とし所ですが、妻だけで17時間以上もの時間をかけて、誰かに聞いて欲しかったという心中も理解できなくはありません。
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最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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