夫30歳(会社員)、妻31歳(会社員)。借家。預金無し。
婚姻2年目。同居中。
こども無。
夫婦共に若く年齢も近いため、とにかく感情の衝突が激しいご夫婦でした。
初回相談時、私の事務所でも平気で夫婦喧嘩ができるご夫婦で、羨ましいほどの若さを感じました。
円満解決か離婚のどちらを希望かを確認すると、双方が「相手次第」と発言。
それは条件次第と言うことなのか、自分の意思が固まっていないのか、を尋ねると双方なんともあやふやな返答。
明確な争点が曖昧なまま、一先ず双方からお話しを聞き進めることになりました。
同居中でしたので、これからの話合いのルール(自宅では離婚の話をしない。言いたいことは全て行政書士に告げる。お互いに手を上げない。相手からの書面はきちんと読む。)を作り、宣誓後に協議を開始することにしました。
来所前に、両家の両親を含めた話合いや、夫婦共通の先輩・友人らに間に立って貰って話合いをしてきたそうですが、何をどうしたいのか、何が衝突しているのか、本人達も分かっていないようでした。
聞き取りを進めると、お互いの誹謗中傷その他、ありとあらゆる面が「気に入らない」と論理的とは言いがたい「口喧嘩」に終始。数回聞き取った後、夫婦喧嘩なら二人で出来るので、このまま相談を継続するか中止するのか、それぞれ考えてくるようにとお願いしました。
言いたいことは全部吐き出したい、きちんと相手には伝えたいという点は双方一致していたので、クールダウン期間を設けることになりました。
2ヶ月後、相談を再開。
整理していくと、夫の不満は、婚姻後の妻の乱費にあると主張。これに対して、妻は自分の収入もあるので、家計を圧迫する程の乱費はしていないと反論。夫が「何を言いたいのか」を深掘りしていくと、「もっと小遣いが欲しい。妻がお金を使いすぎている」というもの。
夫は、家計を全く把握していなかったので、現状を正確に把握して避難していたものではないという点が浮き彫りになってきました。家計簿を目の当たりにしても、「それでも小遣いを増やして欲しい」と主張する姿勢に変化はありませんでした。
一方、妻は「しっかりと貯蓄したい」という希望があり、常識的な範囲で貯蓄もしっかりとしていました。直ぐにこどもが欲しい/欲しくないという意見の相違も、根底に横たわっていたようです。
もう少し夫婦を続けるのか、離婚するのか、そろそろ決断しても良い時期ではと促すと、双方共に「相手が自分の考えに沿うならば」と、自分の意見は曲げず。
相手が承服するなら、やり直しても良いとの“上から目線”。似たもの夫婦とは良く言ったものだと、感心してしまいました。
最終的に、お互いに譲歩・協力し合う“姿勢がない”ことを確認し、「こどもも財産もないうちに、さっさと別れましょう」という点で双方納得して離婚が成立となりました。
交際3ヶ月で婚姻したため、お互いの将来感や人生展望を共有していなかったとの後悔を述べられていました。
喧嘩が絶えなかったのは、相手への不信感が一杯で、何を話そうと信じられない感情を抱いてしまっていたことに気づいたそうです。
気持ちのクールダウンに約2ヶ月。冷静になってからは、約3週間の話合いで解決した事例でした。
*中立離婚アドバイザーから離婚を考えているあなたへ
初めてのカウンセリングで感じたのは、とにかく元気で活気にあふれているということ。そのエネルギーは素晴らしいものですが、同時に、その衝突も激しいものでした。「相手次第」という言葉が、どれほどの不安を表わしているのか、私には痛いほど伝わってきました。この「相手次第」というまどろっこしい曖昧さが、お互いに一体何をもたらしているのか、考えてみてほしいのです。
それぞれが感情的になり、何が本当の問題なのかも見失ってしまっている。時には、冷静さを取り戻すために一定の距離を置く勇気が必要です。約2ヶ月のクールダウン期間を経て、再び対話が始まったとき、このご夫婦は新たな視点を得ることができました。冷静さを取り戻すための時間が、功を奏しました。
話し合いを進める中で明らかになったのは、単に悪化した感情や誹謗中傷の繰り返しではなかったということ。実は、根底にあるのはお互いの不安や期待、そして理解し合えない思いだったのです。夫は「小遣いを増やしたい」、妻は「しっかり貯蓄したい」という願望を持っていましたが、お互いが理解し合えないままに感情がエスカレートしてしまう。相手の心の底にある本当の思いを理解できないまま、心がすれ違っていました。
「もう少し夫婦を続けるべきか、離婚すべきか」を考える時期、このご夫婦はどんな気持ちでいたのでしょう。「相手が自分に合わせるなら」と、自分の意見を曲げられないことに気がついたとき、そこに信頼関係の破綻があったのかもしれません。何よりも大切なのは相手を理解し共に歩んでいく姿勢ですが、それが無いと気付いたとき、気持ちの整理がついたのでしょう。
交際から3ヶ月で結婚した二人が、将来のビジョンを持たなかったことを悔い、最終的には「こどもも財産もないうちに、さっさと別れるべき」と結論に達した姿をご紹介しました。彼らの経験から、あなたも学ぶことがあるはずです。心を落ち着け、自分自身と向き合う時間を大切にしてください。
どうか、お一人で悩まずに、あなたに寄り添う存在を見つけてください。あなたの未来は、あなた自身の手の中にあります。
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